2009年7月9日木曜日

ハンセン病Q&A

 
Q.ハンセン病とは?
A.ハンセン病は、1873年にノルウェーのハンセン医師が発見した「らい菌」という細菌による感染症です。体の末梢神経がまひしたり、皮膚がただれたような状態になるのが特徴で、病気が進むと容姿や手足が変形することがあります。
 
Q.ハンセン病は治るのですか?
A.1943年にプロミンという薬が発見されて以降、100%治る病気となりました。ハンセン病患者ではなく、ハンセン病「元」患者あるいは回復者と呼ぶのはそのためです。身体の変形は後遺症によるものです。
 
Q.ハンセン病はうつるのですか?
A.感染力は非常に弱いです。その証拠に、この90年間で、療養所に勤務する人が感染したことはありません。遺伝病でもありません。
 
Q.どうして隔離政策がとられたのですか?
A.感染するのではないかと誤解された結果です。日本では1953年に「らい予防法」ができて、1996年にやっと廃止されるまで、国家政策として強制隔離をしました。療養所では厳しい環境における労働の他に、断種、堕胎などの強制手術も行われ、入所者は人権を侵され、心身ともに多大な傷を負いました。2001年、ハンセン病元患者が起こしたハンセン病国家賠償訴訟に勝訴し、国の過ちが全面的に認められ、和解が成立しました。
 
Q.ハンセン病療養所の現在の状況を教えてください。
A.全国には13の国立療養所があります。全国ではおよそ2,400人の方が生活をしています。平均年齢は81歳です。大島青松園には110人あまりの元患者が生活しています。大島青松園は唯一陸続きではない療養所です。(数字は2010年現在のものです)
 
Q.ハンセン病の現在の問題は何ですか?
A.らい予防法は廃止され、国との和解も成立しましたが、その保障は不十分なものです。また、社会の偏見はなくなってはおらず、うつるのではないかという間違った知識のもと、差別もなくなっていません。現在では、元患者の高齢化が進み、元患者が長年過ごしてきた第二の故郷である療養所が統廃合されるのではないかという不安もあります。

Q.元患者の社会復帰は進んでいますか?
A.ほとんどの方は高齢のため、また身体障害や病気のため入所したままです。差別をおそれて家族と縁を断ち、改名している方も大勢います。コンサートで必ずうたわれる《故郷》には、故郷はあっても帰る家のない元患者のみなさんの切なる思いがこめられています。社会復帰とは、元患者のみなさんが社会に出ることだけではなく、地域が療養所をまるごと社会に受け容れていくことでもあります。

Q.私たちにできることは何ですか?
A.ハンセン病を正しく理解すること。療養所を訪れる機会をもつこと。退所者と交流をもつことなどです。

 

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